「身を焼いて中身を救う」昔から桐箪笥はそう言われています。熱の伝導率が低く、表面が燃えても内部までは燃えず、衣類や貴金属は無事だったという詰も多く残っています。さらに、桐は素材の表面が粗い為、吸湿性があります。吸い込んだ素材自体は膨張し、隙間をふさぎ外気を遮断。乾燥時は素材が収縮し通気をよくします。軽くて軟らかい桐材は、腐りやすいと考えられがちですが、実は極めて腐りにくい木材であり、パウロニン、セサミンという成分が含まれているので防虫効果にも優れているという特性まで合わせ持ち、まさに家具に適した材料と言えるでしょう。
木釘を打込む独特な伝統技法で堅牢に組み立てられ、熟練した職人によりかんなで調整しながら削って本体に入れ込まれた引き出しや扉はため息のでる美しさ。柾目に描き出された桐の表情は、歳月とともにその深みを増していきます。表面を削れば 新しい木肌が現れるので、リサイクルも可能です。木肌のぬくもりを何代にもわたり受け継いでください。